PINK PARADE

タイトル: PINK PARADE (amazon)

作者: 御形屋はるか

レーベル: マンサンコミックス

出版年月日: 2006-10-28

ASIN: 4408170267

 

御形屋はるかさんのまんが単行本も、これで確か9冊目(間違っていたらすみません)。過去に同タイトルで出版されていた単行本の新装版になります。最近の『To Heart 2』や『ぽてまよ』でファンになったという方にもぜひ読んでほしいですし、単行本未収録だった『PINK PARADE 湯けむり番外編』『華に嵐』『唇までの距離』が追加収録されていますので、旧版持っているよ、という旧来のファンの方にもぜひ、な単行本です。個人的には、旧版を手に取ったのが御形屋さんのファンになるきっかけだった、という、思い入れのある本でもあります。

単行本全体の印象としては、とにかくバラエティ豊かだな、と。実験的な作品も収録されていたりして、興味深い仕上がりになっています。もちろん、御形屋まんがの持ち味である(とわたしが勝手に考えている(汗)、やさしい味を持った作品も多く収録されていて、その魅力を充分に味わうことができるかと思います。

で、短編集ということで全体をまとめての感想というのはどうにも書きにくかったので、いくつかピックアップして書いてみます。

 

『PINK PARADE』: 表題作を飾っている連作。連邦保安庁長官ヴィンセント=ワイルドと、彼の気をひくために脱獄を繰り返す刑期999年の大悪党ハーシィ=チョコレートとの、ハイテンションコメディ。いやもーバカップル万歳? コメディだけでなく、他者を求めることの楽しさ・求められることの嬉しさも描かれていて、とても楽しくなれる作品群。

『おかしなふたり』: 男女逆転ラブコメディ。女の子みたいに繊細でやさしく、女の子になりたいとあこがれるような男の子が主人公。お相手の彼女は、そんな彼の"オスくさく"ないところを気に入った女の子。男女逆転なエッチシーンはとっーても楽しかった(ネタバレ?)!<趣味丸出し そしてラストシーン。とても素敵で、優しい気持ちになれる、そんな一本。わたしはこのお話、大好きです。

『LITTLE RED LOLLY POP』: 実験的な作品? おはなしも独特なのですが、絵の方でも実験をしているとのこと(あとがき参照)。少女が大人になってしまうことのどうしようもなさとか痛みとか切なさとか、そんなものがよく描かれていて、とても雰囲気のある作品。……まぁ男の(男の子がただ歳を重ねてしまったような、ダメな男の)わたしには、本当のところは理解できないものなんでしょうけれど。

『蔵の中』: 『LITTLE RED LOLLY POP』と、ある意味対になっているように感ぜられる一篇。どんどん先に行ってしまう女の子に取り残される男の子。置いてきぼりをくらった男の子は、いつか追いつくことができる日が来るんだろうか。個人的にとても好きなモチーフを、うまく料理してもらったような感じ。

『夏、還る。』: 複数の要素が絡んだ、ちょっと複雑な構成の一篇。それでもすらっと読めてしまうのは、御形屋さんの手腕なのでしょう。子どものころの不思議を、それが不思議ではなくなったいまも抱え続けている男の子の物語。そして、女の子において行かれてしまった男の子はいつまでも大人になれず中途半端な場所に取り残される。……そんなかんじで読んでいたのですが、御形屋さんのあとがきによると、もう少しべつの意図が込められていたようです。そうかー、なるほどー、というかんじです。

『天から花の降るごとく』: とりあえずウサギ耳萌え。……じゃなくて、いやそれはそれで正しかったりしますが、とりあえずおいておいて。他者からの好意の受け止め方を知らなかった少年が、それを教えられる物語。好意・受容・許容。癒しの一篇。

 

と、とりとめもなく書いてきましたが、こんなところで。これを読んでくださって御形屋さんの作品に興味を持ってもらえれば、とても嬉しいです。